AMP v. USPTO: Myriad wins this battle, but will the war continue?
| August 16, 2011
Association for Molecular Pathology v. USPTO (CAFC 2011)
2011年7月29日、CAFCはAMP v. USPTO(Myriadは上訴人としてUSPTO側に名を連ねる)、地裁のSweet判事の判決(単離DNA配列は特許対象ではない)を棄却し、DNAクレームは特許保護適格があると判断した。
単離DNAクレームに関する多数意見
被控訴人(特許反対派)は、単離されたDNAと自然界のDNAはいずれも同じ遺伝子情報を持つものであり、それらは「著しく異なる」ものではないと主張した。CAFCの多数意見はこれを受け入れず、「単離されたDNAが、自然物と類似する情報的性質を持っているという理由で、その特許対象適格性が否定されることはない」と述べた。多数意見は、単離精製されたリチウム元素、地中から発掘されたダイヤモンド、木から採取した葉など様々なアナロジーを用いて議論した。最終的に多数意見は、単離DNAは「天然DNAと著しく異なる化学的性質(つまり化学的相違)がある」という議論に戻って、単離DNAは特許可能な主題であると結論づけた。さらに、このような主題を特許対象から除外するには米国議会の判断が必要であると付け加えた。
この事件の異色な一面であるが、米司法省が意見を述べている。米国政府は、特許対象適格のテストとして「マジックマイクロスコープ」テストを適用すべきであると主張した。つまり、完全に同一の配列が自然界に見い出されるのであれば、特許すべきではないが、そのような完全同一の配列が見い出されなければ特許してもよい、というテストである。これに対しLourie判事は、それが目に映るからといって、特定のDNAが切断されて単離されるわけではなく、このような行為は人間の発明行為であると述べ、反対した。
単離DNAクレームに関するMoore判事の意見
Moore判事はまず、cDNAはイントロンが除去されており、自然界には存在しないという理由で特許可能であるとした。他方、自然界の配列と同一のDNA配列についても多数意見に同意しているが、短鎖DNA断片については、「有用性の範囲の拡大」という理由を付け加えた。Moore判事は、自然状態のDNA断片は診断に使用され得るものではないことを指摘し、単離されたDNA断片は「もともと自然界に属する事象の一端」として機能するものではなく、自然界に存在する場合とは「異なる有益な有用性」があると述べた。
しかし、Moore判事は、遺伝子を含むような長鎖DNAの判断に迷ったようである。単離されたDNAの化合物としての相違を認めながらも、Moore判事は化合物としての相違で判断せず、長鎖DNA配列の特許を禁止するかは米国議会の意思に委ねるという消極的な立場で賛成したといえる。Moore判事は、特許運用の変更がバイオ産業に与える影響を指摘した。
さらにMoore判事は、政府が提案した「マジックマイクロスコープ」テストに強く反対した。Moore判事は、このテストは子供じみていると非難し、過去の判例法と矛盾することも指摘した。
単離DNAクレームに関するBryson判事の意見
まず、Bryson判事はcDNAは実験室で作製されるものであり特許対象適格があると認めたが、DNA断片クレームの特許対象適格を否定した。このような主題は、化学標識(タグ)など、有用性に寄与する追加的な構造を記載している場合に特許するべきであると述べた。ただし、この議論のなかでBryson判事は、特許法101条や判例法についてほとんど検討していない。
Bryson判事は、長鎖DNAクレームの特許対象適格も否定した。Bryson判事は、自然状態から単離されてサイズが変化したというだけで特許可能とすることに疑問を呈している。地中からの鉱物の採掘や木から葉をもぎ取るのと同じアナロジーで、自然界にある状態と、単離された状態との間の構造上の相違はクレームの限定とはいえないと指摘した。換言すると、長鎖DNA配列はそれが自然状態にあるときと何ら機能が変わるものではないから、特許すべきではないとの立場である。最後にBryson判事は、遺伝子特許取得に関する米国特許庁の過去の運用の便宜を考慮すべきではないと述べ、運用の変更がバイオ産業に与える影響や米国議会の判断が必要であるかついてコメントしていない。