Possibility of Claim Differentiation

Tsuyoshi Nakamura | March 31, 2016

DSS Technology Management Inc. v. Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.

March 22, 2016

Before: Taranto, Clevenger and Hughes. Opinion by Taranto.

Summary:

DSS disputed the narrower claim construction of claim 1 by the district court which incorporated some limitations from the specification.  DSS argued in certain issue that such narrower claim construction should be prevented by the rule of claim differentiation in view of dependent claim 4.  The CAFC stated that, because claim 4 was further narrower than the court’s claim interpretation of claim 1, claim differentiation can still be preserved.  It would be also possible to draft claim 4 broader than the original such that its scope be the same as the court’s narrower claim construction of claim 1.  In that case, patentee might be able to rely on claim differentiation a little bit more.

DSSは、明細書の実施形態の限定を組み込んだ狭いクレーム1の解釈について争った。DSSは、一部の主張において、クレーム1の狭い解釈は、従属項4の観点からしてclaim differentiationのルールに反するものであると主張した。これに対してCAFCは、クレーム4はクレーム1の狭い解釈よりもさらに狭いので、従属項として問題はなく、claim differentiationのルールに抵触しないと述べた。クレーム4をもう少し広く記載してクレーム1の狭い解釈と同程度にすることができたのであれば、特許権者はclaim differentiationについてもう少し強い議論ができた可能性がある。クレームを階層的に書き分ける重要性の一つとも言えるであろう。

Details:

DSSは、米国特許US5,652,084の特許権侵害を主張して、TAIWAN SEMICONDUCTOR社をはじめ複数の企業をテキサス州東部地区で訴えた。地裁はクレーム解釈に基づいて非侵害を認定した。これに対して、DSSがCAFCへ控訴したものである。

‘084特許の概要

‘084特許は半導体製造プロセスに関するものであり、より具体的には、半導体製造プロセスで使用されるリソグラフィ技術の改良に関するものである。典型的なリソグラフィ技術では、加工対象層の上にフォトレジストが付着され、マスクを通して露光される。次に、フォトレジストが現像されて、所望のパターン化されたフォトレジスト層が形成される。次に、フォトレジストで覆われていない加工対象層がエッチングされ、フォトレジストに形成されたパターンが加工対象層にコピーされる。

このようなリソグラフィプロセスは、光学系の解像度によってピッチ幅および集積度に限界が生じる。’084特許は、そのような限界を改良するものである。

具体的には、フォトレジストによるパターン化層の作成工程が2段階に分けられる。まず、第一のイメージ層を付着させて露光、現像を行い、第一のパターン化層を作成し安定化させる。次に、第二のイメージ層を第一のパターン化層の周囲に付着させ、露光、現像によって第二のパターン化層を作成する。第一のパターン化層が中央に残っているので、第一のパターン化層と第二のパターン化層とで単一のパターン化層を構成することができる。

‘084特許の図2~図5は、これらの工程を説明している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‘084特許のクレーム

争点となった’084特許のクレーム1は以下である。

 1.  A lithography method for semiconductor fabrication using a semiconductor wafer, comprising the steps of:

(a) forming a first imaging layer over the semiconductor wafer;

(b) patterning the first imaging layer in accordance with a first pattern to forma first patterned layer having a first feature;

(c) stabilizing the first patterned layer;

(d) forming a second imaging layer over the first pattern layer; and(e) patterning the second imaging layer in accordance with a second pattern to form a second patterned layer having a second feature distinct from the first feature, wherein the second patterned layer and the first patterned layer form a single patterned layer, and wherein the first and second features which are formed relatively closer to one another than is possible through a single exposure to radiation.

(e) patterning the second imaging layer in accordance with a second pattern to form a second patterned layer having a second feature distinct from the first feature, wherein the second patterned layer and the first patterned layer form a single patterned layer, and wherein the first and second features which are formed relatively closer to one another than is possible through a single exposure to radiation.

参考として、’084特許のクレーム1の日本語訳は以下となる。

1. 半導体ウェハを用いて半導体を製造するためのリソグラフィ法であって、以下のステップを含む:

(a) 半導体ウェハの上に第一のイメージ層を形成し、

(b) 第一のパターンにしたがって前記第一のイメージ層をパターン化して、第一のフィーチャを備える第一のパターン化層を形成し

(c) 前記第一のパターン化層を安定化させ、

(d) 前記第一のパターン層の上に第二のイメージ層を形成し、

(e) 第二のパターンにしたがって前記第二のイメージ層をパターン化して、第一のフィーチャとは異なる第二のフィーチャを備える第一のパターン化層を形成し、

前記第二のパターン化層と前記第一のパターン化層とは、単一のパターン化層を形成しており、前記第一および第二のフィーチャは単一の露光工程によって形成されるよりも互いに近接して形成される。

争点

 問題となったのは、クレーム1のa first patterned layer having a first feature(第一のフィーチャを備える第一のパターン化層)の解釈である。上述したように、リソグラフィ技術は、フォトレジストに所望のパターンを形成し、それを加工対象層にコピーすることになる。したがって、フォトレジスト層が第一のフィーチャを備える場合、同じフィーチャが加工対象層にもコピーされることになる。したがって、a first patterned layer having a first feature(第一のフィーチャを備える第一のパターン化層)の解釈としては、第一のフィーチャを備えるパターン化されたフォトレジスト層のみならず、第一のフィーチャを備えるパターン化された加工対象層もカバーするという広い解釈も理論上可能である。

地裁のクレーム解釈

①first imaging layer(第一のイメージ層)とは、フォトレジストまたは露光に反応する材料の第一の層であり、second imaging layer(第二のイメージ層)とは、フォトレジストまたは露光に反応する材料の第二の層である。

②) patterning the first/second imaging layer(イメージ層のパターン化)とは、特定のパターンにしたがってイメージ層を露光して現像し、イメージ層のうち特定のパターンの外部に位置する部分を現像液中に溶解させて、イメージ層にパターン化された残余部分と空隙とを形成することである。

③first patterned layer having a first feature(第一のフィーチャを備える第一のパターン化層) およびsecond patterned layer having a second feature(第二のフィーチャを備える第二のパターン化層)とは、第一および第二のパターン化工程の後で存在する第一および第二のイメージ層の残余部分および空隙を含む層のことである。

地裁の判断

DSSは、first patterned layer having a first featureを広く解釈し、イメージ層のみならず、その下にある加工対象層も含むと主張した。これに対して、地裁は、上記のクレーム解釈に基づき、イ号の構成のうち、first patterned layer having a first feature(第一のフィーチャを備える第一のパターン化層)に該当するとDSSが主張する部分は、第一のイメージ層の下にある加工対象層であるから、「第一のイメージ層の露光および現像工程の後で存在する第一のイメージ層の残余部分および空隙」を含むことはできず、first patterned layer having a first featureというクレームの構成要件はイ号によって充足されず、よって、特許権侵害は成立しないと判断した。

CAFCの判断

A.  結論

結論としては、CAFCは地裁の判断を支持した。

B.  理由

1) DSSは地裁のクレーム解釈に同意しており、この地裁のクレーム解釈によれば、patterned layer(パターン化された層)はイメージ層 (つまり、パターン工程の後に残存する材料と空隙) よりなり、パターン工程によって形成される他の層を含まないことになる。

2) patterning the first imaging layer in accordance with a first pattern to form a first patterned layerというクレーム1の表現は、first patterned layerがパターン工程を実行した後の直近の結果物であることを示しており、パターン工程にさらにクレームに明記されない工程を加えた後の結果物を意味していない。さらに、DSSは、地裁によるpatteringの解釈(特定のパターンにしたがってイメージ層を露光して現像し、イメージ層のうち特定のパターンの外部に位置する部分を現像液中に溶解させて、イメージ層にパターン化された残余部分と空隙とを形成することである)に同意している。

3) imaging layerおよびpatterned layerという2つの用語を使用してクレーム中の同一の部材を特定しても構わない。DSS自体が、patterned layerはimaging layerと同じ部材で形成されてもよいと認めている。この解釈は明細書にもサポートされており、明細書の記載とも矛盾しない。例えば、カラム4、9-12行に以下の記載がある。「イメージ層がポジ型材料である場合、露光していない部分は溶解しにくく、残留して第一のパターン化層232を形成する」。

4) クレーム1に関する狭いクレーム解釈は、クレーム4とクレーム1との間で機能するclaim differentiationのルールと矛盾しない。DSSの主張は、地裁が行ったクレーム1の狭い解釈によれば、パターン工程(ステップ(b))が露光工程と現像工程とを備えることになり、従属項であるクレーム4と同じ権利範囲になってしまうので、claim differentiationのルールに矛盾するというものである(’084特許のクレーム4は以下である)。しかしながら、クレーム4では、露光された部分が溶解すると定義されているので、これはフォトレジスト(イメージ層)がポジ型であることを特に限定している。これに対して、クレーム1は、フォトレジストがポジ型であってもネガ型であってもよく広い。したがって、クレーム4はクレーム1よりも狭いクレームである。よって、裁判所のクレーム解釈がclaim differentiationのルールに矛盾することはない。

4.  The method of claim 1, wherein the patterning step (b) includes the steps of:

(i) exposing a portion of the first imaging layer to radiation; and

(ii) developing the first imaging layer such that the exposed portion dissolves to form the first patterned layer.

4.  前記パターン化工程(b)は以下を含む:

(i) 前記第一のイメージ層の一部を露光し、

(ii) 前記第一のイメージ層を現像して、露光された一部が溶解して前記第一のパターン化層を形成する。

まとめ

‘084特許は、一発特許査定で登録に至っており、プロセキューションヒストリーにおいてクレームの限定解釈につながる要素がない。クレーム4がもう少し広く記載されており、理由付け4)のclaim differentiationの部分で優勢であったならば、結果は違っていたかもしれない。クレーム作成に精進し続ける実務家にとっては興味深いケースである。

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